生きる苦しみに耐えられず、絶えず自殺する人がいます。人は死んで本当に終わりなのでしょうか?東、西洋の伝説や古典では自殺について考え方が同じで、自殺した人は罪を償うために死後も生前の何倍も苦しむと見ています。
ジェツン・ミラレパは、チベットで最も有名な仏教修行者・聖者の一人です。彼は若い頃、家族の仇討ちするため、巫術を学び、呪いをかけて多くの人を死なせました。その後、自らの悪業の報いに恐れを抱いて真の仏法を求めるようになったミラレパは、師マルパと出会い、入門を乞いました。
しかし、マルパはミラレパの悪業を浄化するために、教えを与えず、「石で造りで多層階の塔を独力で建設せよ」と命じ、途中まで完成させると「それを解体して材料を元の場所に戻せ」と命じました。このように、マルパは場所を変え設計を変えて、塔の建設と解体を何度も繰り返させるという、理不尽で過酷な肉体労働を長期間にわたってミラレパに課しました。
マルパの妻はミラレパを可哀想に思い、彼を助けようとマルパの印鑑と印信を密かに取り出し、手紙を偽造して、マルパに代わって教えを授けることのできるマルパの弟子のところにミラレパを行かせました。しかし、マルパの許可を得ていないため、ミラレパがどんなに努力して修行しても何の効果もありません。その後、このことを知ったマルパは妻に激怒し大声で怒鳴ります。
ミラレパは自分の悪業があまりにも深すぎるせいだと思い、これ以上、生き永らえても、恩人に迷惑を掛け続け、罪を積み続けるだけなので、今ここで死んだ方がましだと考え、自殺を図ろうとします。それを見たマルパの弟子は、ミラレパを抱きしめ、涙をこぼしながら、寿命が終わる前に自殺するのは、この世でこの上ない大きな罪だとミラレパの自殺を止めさせました。
参考資料:
『ミラレパ修行故事』
(翻訳編集・唐玉)
(轉載/大紀元)